【固定電話じまい】よかったこと&注意点、高齢の親にも安心な方法とは?

固定電話じまい、実感ベースのメリット4つ
1. セールス・詐欺電話が激減して安心

私の母が「最近、変な電話がかかってくるから電話に出ないようにしているの」と言い出しました。

それでは固定電話が鳴っても電話に出ないということですね。

はい、電話がかかってくることを、とてもストレスに感じているようで、、、それであれば固定電話を解約したらいいのではと思いました。
固定電話をやめて一番実感するのは「セールスや詐欺電話がほぼなくなった!」という安心感です。
警察庁が発表した2024年のデータによれば、オレオレ詐欺や還付金詐欺といった被害の多くが「電話を使っただましの手口」で行われており、そのうち大多数が「固定電話」を狙ったものとされています。
高齢者を狙った詐欺やしつこい勧誘電話から解放されるのは大きなメリットです。

携帯電話番号は名簿業者に出回りにくく、知らない番号からの着信も拒否しやすいので、精神的にもとてもラクになります。
2. 固定費が減って家計もスッキリ

母は、受け取っている年金が少ないから毎月かかる固定費を減らせないか気にしていました。

固定電話の基本料金や通話料は意外と高くつきます。
携帯電話も持っている方は、両方に料金が発生することになり、通信費が二重にかかってしまいます。
主な固定電話の種類別・月額使用料一覧(2025年5月時点)
NTTアナログ回線(加入電話)
【住宅用】月額:1,595円~1,870円
※地域の局種(1級~3級)で異なります
※「ライトプラン」「ダイヤル式」などで細かく変動
ISDN回線(INSネット)
【住宅用】月額:3,278円
※2025年4月から料金が引き上げられました
光IP電話(ひかり電話)
【基本プラン】月額:550円
【Aプラン(付加サービスあり)】月額:1,650円
【通話定額プラン】月額:1,540円~4,290円
※別途、光回線・プロバイダ料が必要
直収電話(例:ソフトバンク「おとくライン」)
月額:2,050円~2,350円(税抜)
※地域の局種(1~3級)で変動
※NTTよりも少し安めな傾向
CATV電話(ケーブルプラス電話など)
【3級局】月額:1,463円
【1~2級局】月額:1,760円
※提供エリア・会社によって異なることがあります

母は携帯電話も持っているんですが、どちらの方が毎月の固定費が安いのでしょうか。

携帯電話の通話料は高いプランでも家族間無料や定額サービスが充実しています。格安SIMやLINE通話なら無料で済むことも多いです。シニア向けのサポートが充実しているプランがあります。
各携帯電話会社のシニア向けプラン比較(2025年5月時点)
ドコモ
プラン名:はじめてスマホプラン
月額料金:1,078円(1年)、以降1,628円(1GB)
通話:5分かけ放題(標準)、無制限+1,100円
家族割:あり
特徴:初めてのスマホにおすすめ、店頭サポート
au
プラン名:ピタットプラン4G LTE+通話定額
月額料金:3,058円(1GB・かけ放題)
通話:無制限(60歳以上 880円)
家族割:あり
特徴:シニア専用端末、充実の店舗サポート
ソフトバンク
プラン名:スマホデビュープラン+ライト
月額料金:1,078円(1年間・4GB)
通話:かけ放題オプションあり(別途料金)
家族割:あり
特徴:使いやすい端末、店舗での相談OK
楽天モバイル
プラン名:最強シニアプログラム
月額料金:1,780円(3GB・15分かけ放題)※家族割で3GB 968円も可
通話:15分かけ放題+Rakuten Linkで無料
家族割:あり
特徴:店舗サポート、迷惑電話対策、セキュリティ充実
ワイモバイル
プラン名:シンプル2 S(4GB)+かけ放題
月額料金:1,958円(家族割適用時)
通話:かけ放題(永年+880円)
家族割:あり
特徴:シニア向け端末、店頭サポート、防犯機能あり
UQモバイル
プラン名:4GB+かけ放題
月額料金:1,958円(割引適用時)
通話:無制限(別料金オプション)
家族割:あり
特徴:シンプルな端末、店頭サポート
イオンモバイル
プラン名:やさしいプラン(3GB)
月額料金:858円(1人)、1,408円(夫婦3GBシェア)
通話:10分 935円、無制限 1,650円
家族割:あり
特徴:簡単操作の端末、店舗サポート
TONEモバイル
プラン名:Androidプラン
月額料金:0円(300MB未満)、以降1,100円~
通話:10分 550円、無制限 1,210円
家族割:なし
特徴:見守り機能、店舗サポートあり

固定電話と携帯電話2台持ちを1台にするだけでその分の固定費を減らすことができます。
通話をスマホのアプリでかけることにより、毎月の固定費をさらに減らすことができ、家計の見直しにつながります。
3. 電話機スペースが空いてスッキリ

実家は電話の配線などいろいろなコード類がごちゃごちゃしていて、掃除機をかけるとき邪魔でしたね。そこにほこりもたまりがちでした。

意外と見逃せないのが「電話機やFAX機がなくなって部屋が広くなった!」という実感です。
電話台や配線、コード類がなくなり、掃除もしやすくなります。
特に高齢者宅では「ほこりがたまりやすい」「足元のコードが危ない」といったリスクも減り、生活空間がシンプルで安全になります。
4. 心配な災害時の対策

災害のときは固定電話の方がつながりやすいと聞いたことがありますが本当ですか?

「災害時のために固定電話は必要」と思いがちですが、実際にはアナログ電話でも停電時に使えないケースが増えています。
最近の電話機はACアダプタ式が主流で、停電時は通話できません。また、光電話やCATV電話は停電時に使えないのが一般的です。

災害時につながりやすいのは実は「公衆電話」です。公衆電話は「災害時優先通信」と同様の扱いとなっているため、通常の電話よりもつながりやすくなっています。
大きな地震が起きると、多くの固定電話や携帯電話の回線が影響を受け、つながりにくくなることがあります。

公衆電話が家から遠いので高齢の母が歩いていくのは難しそうです。
公衆電話の数は年々減っていて、すぐ近くに見つけられるとは限りません。そんなときに頼りになるのが、スマートフォンの通話アプリです。
インターネットを使った音声通話アプリは、電話回線を使わずに通話できます。つまり、電話がつながらなくても、スマホと通信が生きていれば話すことができるのです。
スマホをお持ちの方は、災害に備えて、あらかじめ音声通話アプリを入れておくのがおすすめです。固定電話を手放しても、安心して家族や大切な人とつながる方法がしっかりあります。

携帯電話は停電時にもモバイルバッテリーや車の充電器があれば、災害時の連絡手段として十分に役立ちます。
※災害用伝言ダイヤルの利用も有効です。
(☝「高齢家族を守る、シニア世代防災手引き」記事にリンク)
固定電話・携帯電話「どっちも出ない問題」
高齢者に多い“連絡不通”の課題
「どっちも出ない問題」…これが、私が母の連絡方法を見直したきっかけでした。

母の固定電話にかけると「自分の部屋にいて気づかなかった」携帯電話にかけると「バックの中に入れっぱなしにしていたから(出られなかった)」という感じで連絡が取れない日がありました。

連絡がとれないと心配になりますね。
耳が遠くなったり、着信音に気づきにくかったり、そもそも操作に不慣れで電話の存在自体を忘れてしまうケースも多く見られます。
こうした状況では、せっかく連絡手段が複数あっても、どちらも機能しないという「連絡不通」状態に陥ります。
電話の着信に気づきやすくするための工夫
音を大きく設定する
電話機やスマートフォンの着信音を最大に設定すると、離れた場所にいても聞こえやすくなります。
振動機能や光るお知らせを活用
バイブレーション(振動)機能や、光で知らせてくれるランプ付きの機種を選べば、音が聞こえづらい方でも着信に気づけます。
いつも目に入る場所に置く
普段過ごしている部屋のテーブルやテレビの近くなど、目立つ場所にスマホや電話を置くようにしましょう。
持ち運びしやすい工夫をする
首から下げられるホルダーや、ポケットに入れやすいストラップを使うと、いつでも電話を手元に置いておけます。
無料の通話アプリを利用する
LINEやMessengerなどのアプリを使うと、着信時に画面いっぱいに通知が表示され、文字も大きく分かりやすいです。また、通話アプリでは、着信があった場合に履歴が記録されるため、後から「誰からだったのか」を確認してかけ直すことができます。
見守り機能や自動応答もおすすめ
緊急時の連絡がすぐにできる「見守り機能付き端末」や、声で反応してくれる「自動応答機能」がある機器も便利です。
いくつかの方法を組み合わせることで、固定電話がなくても、日常のやりとりや緊急時の連絡に安心して対応できるようになります。
携帯に一本化するときのカギ
本人が使いこなせる機種を選ぶこと
固定電話をやめて携帯電話に一本化する場合に「本人が使えること」が最も重要です。高齢者向けスマホには、以下のようなポイントがあります。
- 画面や文字が大きく見やすい
- 物理ボタン付き(※物理ボタンはタッチパネルと違いボタンを押した感触があり高齢の方が好みます。押した感触があるので確実に操作している実感があります)
- シンプルなホーム画面(※電話をかける・LINEをする・メールをする、のボタンがホーム画面にあれば十分という方が多いようです)
- 耳が遠い人向けには着信音が大きい機種
- 落としても壊れにくい耐衝撃・防水仕様
また、アップデートによる変更などがあった時にもサポートが必要な場合があります。定期的に困ったことがないか声かけしたり、何かあったら相談してもらうことが、詐欺被害の予防にもつながります。
携帯ショップへ一緒に行くことの大切さ
高齢者が新しい携帯電話やスマホを選ぶ際は、必ず家族が一緒にショップへ行くことが大切です。
私は母と一緒にいってあげられませんでした。ちょうどガラケーが使用できなくなるので買い替えなければいけなくなった時でした。母は一人で携帯ショップへ行き店員さんにすすめられた機種を買ってかえってきたのですが、使い方がまったくわかっていませんでした。
それからです。今まで楽しそうにメッセージを送ってきていた母から一切メッセージが届かなくなりました。家族で何度も使い方の説明もしましたが、高齢の母が理解するにはとても難しい機種でした。「一緒に行ってあげればよかった」私が今でも後悔していることの一つです。
家族が一緒に携帯ショップへ行くことで、本人が使いこなせる機種を購入することができます。
- 実際に手に取って、持ちやすさ・画面の見やすさを確認できる
- 操作の練習や初期設定をその場でサポートできる
- 不要なオプションやサービスに勝手に加入させられるのを防げる
- ショップでスタッフに質問することで、今後も相談できる安心感を持てる
なぜ今「固定電話じまい」が注目されているのか
スマートフォンの普及
スマートフォンの普及により、固定電話を使う家庭は年々減っています。総務省のデータによると、高齢者世帯の固定電話の保有率は2009年にはほぼ100%でしたが、2023年には82%にまで低下しました。今では60代以上の方もスマホで通話やLINEを使うことが当たり前になってきています。
詐欺電話やセールス電話の増加
固定電話には営業電話や詐欺のような怪しい電話がかかってくることもあります。とくに高齢者をねらった詐欺は深刻で、「知らない番号からばかりかかってきて不安」「電話に出るのが怖い」と感じる人も少なくありません。
コスト削減の意識と役割の変化
固定電話には毎月の基本料金や通話料がかかりますが、スマートフォンなら定額通話プランや無料通話アプリもあり、費用を抑えやすくなっています。こうしたコスト面を見直す動きが広がっています。
災害時のリスクと通信手段の多様化
以前は「災害時に連絡が取りやすいから固定電話は必要」と言われていましたが、最近の大規模災害では、固定電話もスマホもつながりにくくなることがあり、状況は変わりつつあります。
固定電話じまいの注意ポイント
解約手続きがややこしい?
固定電話を解約する際は、契約しているサービスの種類によって手続き方法が異なりますが、基本的な流れは共通しています。
まず、どの回線を使っているかを確認しましょう。NTTのアナログ回線やISDN回線(加入電話)の場合は、NTT東日本または西日本のWebサイトや電話で手続きが可能です。レンタル機器の返却や回線撤去が必要になる場合や、キャンペーン契約中の違約金がある場合はその料金がかかります。
事前に契約内容や必要な情報・書類等を確認し、不明点があればカスタマーセンターへ問い合わせるのがおすすめです。
昔からの連絡先はどうする?
1. 新しい電話番号をあらかじめ伝えておく
解約の前に、よく連絡を取る親戚や友人には、新しい電話番号(携帯やインターネット電話)を前もって知らせておきましょう。
年賀状に書いたり、お手紙に添えたり、直接電話で伝えるなど、相手がわかりやすい方法で知らせると安心です。
3. 固定電話の番号を引き続き使う方法
○固定電話番号をそのままスマホやPCで使いたい場合、「市外局番付きIP電話」や「スマホ固定電話化アプリ」を活用できます。(アプリ使用料や初期費用、工事費等あり)
○番号ポータビリティで従来番号を移行し、外出先でも同じ番号で発着信可能です。
○月額1,000円前後、通話料は固定宛8.8円/3分が目安。高齢者にも使いやすいサービスやサポート体制を持つ事業者を選ぶと安心です。
4. 解約ではなく「一時休止」にする方法も
まだ迷っている場合は、いったん完全に解約するのではなく、「一時停止」の手続きをして、電話番号を数年保存することもできます。
その間に連絡先の切り替えをしたり、まわりに知らせる時間が取れます。
高齢の方には家族の手助けが必要
固定電話の解約、スマホやインターネット電話の操作方法、高齢の親世代にとっては難しく感じられることがあります。「なんだが難しそう…」と感じて、なかなか固定電話じまいに踏み出せない方も多いようです。
そんなときは、家族のサポートがとても大切です。一緒に携帯ショップに行くこと、スマホの使い方をゆっくり何度でも教えてあげること、着信音を大きくしたり見やすい設定にすることなど、お手伝いしてあげることで安心して使えるようになります。
おわりに。。
今の暮らしに合わせて、固定電話を手放す「固定電話じまい」を選ぶ方が増えてきました。スマートフォンの普及や生活スタイルの変化から見ると、自然な流れかもしれません。
けれども、長年使い続けてきた電話番号には、家族との思い出や地域とのつながり、そして安心感といった目に見えない大切な気持ちがたくさん詰まっています。特に高齢の方にとっては、固定電話をやめることで「本当に大丈夫かな?」という不安や、寂しさを感じることもあります。
「この番号でずっと連絡してきた」「親戚や昔の友人がこの番号を知っている」──そんな思いを無視することはできません。
また、新しいことを受け入れることに抵抗がある方もいらっしゃいます。無理強いすることなく、ご本人の想いを大事に尊重しながら「ご本人が安心して使える連絡手段」を整えてあげられるとよいですね。
ありがとうございました。