おひとりさまの老後移住に最適な地方都市の選び方|ポイントを5つ紹介

おひとりさまの老後、移住という選択肢
おひとりさまが老後に移住先として選ぶ「地方都市」は多くのメリットを持っています。
経済的にも精神的にも無理のない、安定したセカンドライフを考える上で、地方都市という選択肢はとても現実的で魅力的です。
【主なメリット】
・利便性と静けさが両立した「中間の暮らし」
・老後の経済的不安を軽減できる
・地域とのつながりが孤独を防ぐ
・自然とともに暮らしながら都市機能も享受できる
選び方のポイント5つ
ポイント①:医療・介護施設の充実度をチェック
どれだけ静かで住みやすい街であっても、もしものときに頼れる病院が近くになければ、安心して暮らすことはできません。
【確認したい3つのポイント】
・総合病院・クリニックが近くにあり、通院しやすいか
・地域包括支援センターや多様な介護サービスが利用可能か
・医療・介護・福祉の連携が整っているかどうか
総合病院やクリニックが身近にあることの安心感
徒歩圏内や公共交通機関で簡単に通える場所に総合病院や専門クリニックがあるかどうかは非常に重要です。診療科の多い総合病院があれば、急な病気や持病の悪化にも対応でき、安心して暮らすことができます。
また、夜間や休日診療に対応した体制があるかも確認しておきたいポイントです。
地域の医療を支える自治体病院や公立病院の存在
公立病院や自治体病院が設置されている地域は、全体として医療体制が安定していると言えます。
移住先として検討している地方都市が、地域医療計画に基づいて医療機関の機能分担や連携があるかどうかを確認すると、将来的な医療ニーズにも備えやすくなります。
地域包括支援センターの有無は安心材料に
地域包括支援センターは、介護保険の申請や介護予防、生活支援などを一括してサポートしてくれる公的な相談機関で、高齢者が安心して暮らすための重要な拠点です。相談できる窓口が近くにあると非常に心強いものです。
移住先を検討する際には、センターがどこにあるか、利用しやすい場所にあるかも確認しておきましょう。
介護サービスの選択肢が豊富かどうかも要チェック
デイサービス、訪問介護、ショートステイ、介護老人保健施設など、多様な介護支援が整っていれば、将来の生活にも柔軟に対応できます。
おひとりさまの老後移住先として、地方都市を選ぶなら、このような介護体制の有無を事前に調べておくことが安心につながります。
医療・介護・福祉の連携がある地域はより安心
包括的な支援ネットワークがある地域は、体調を崩したときにも孤立せず、スムーズに適切な支援を受けられるため、おひとりさまにとっては大きな安心材料になります。
例えば、病院と訪問看護・ケアマネジャー・福祉サービスが情報を共有し、住民の健康を地域全体で支える体制です。
ポイント②:交通の利便性と移動のしやすさ
移住先選びで最も大切な交通の利便性です。
「公共交通の本数やアクセスの良さ」と「車を使わずに日常生活が送れるか」という点を必ずチェックすることが必要です。
【交通利便性チェックリスト】
・電車・バスの本数や運行エリアの広さは十分か
・駅やバス停から自宅、またスーパーや病院までの距離は徒歩圏内か
・徒歩や自転車で日常の買い物や通院が可能か
・デマンド交通や地域の移動支援サービスが利用できるか
・免許返納後も安心して移動できる環境かどうか

地方都市の交通事情と課題
多くの地方都市では、自動車に依存する生活が進み、公共交通の利用者が減少して路線の廃止や運行縮小が見られることもある。
そのため、移住を検討する際は、その地域の公共交通が十分に機能しているか、本数や運行エリアの広さを事前に調査することが重要です。
公共交通が乏しい地域では、日常の移動に困難が生じます。
車がなくても暮らせる環境が理想的
近距離の移動手段が確保できることで、生活の自由度が高まり身体的だけでなく精神的にも負担が軽くなります。
生活圏内に必要な施設が集まっていることが望ましいです。
デマンド交通や地域の互助サービスの活用
公共交通が不十分な地域でも、予約制の乗り合いタクシー「デマンド交通」や、地域住民による移動支援サービスの導入が進んでいる場合があります。
こうした取り組みは、大きな支えになります。移住先を選ぶ際は、これらの交通支援サービスの有無を確認することが重要です。
ポイント③:生活インフラと買い物環境
車を持たないおひとりさまの日々の生活の快適さに直結する問題です。
以下のポイントをしっかり押さえることが大切である。
【ポイント】
・徒歩圏内にスーパー・コンビニ・薬局・金融機関があるか
・日々の買い物に困らない利便性があるか
・地域の買い物支援サービスや移動販売が利用可能か
徒歩圏内にスーパーやコンビニがあるかどうか
徒歩や自転車で行ける範囲にスーパーやコンビニがあれば、重い荷物を持ち運ぶ負担を軽減でき、買い物が楽になります。
薬局や金融機関のアクセスも重要
体調不良時や常備薬の調達に便利なだけでなく、医師の処方箋に対応できる環境は高齢者の生活を支えます。
さらに銀行や郵便局などの金融機関も徒歩圏内にあるか確認しておきたいポイントです。
年金の受け取りや公共料金の支払い、各種手続きに必要で、生活の利便性を高めるためには欠かせません。
自治体の買い物支援サービスの活用も検討したい
一部の地方自治体では、高齢者向けに買い物割引制度や移動販売、宅配や買い物代行サービスなどを展開しています。
例えば、埼玉県さいたま市の商店利用割引や佐賀県吉野ヶ里町の軽トラック移動販売は、買い物の負担軽減に役立ちます。

ポイント④:地域の見守り・支援体制の有無
地域の見守りや支援体制の有無は非常に重要です。
高齢者が孤立せず安心して暮らせる環境には、以下の体制が整っていると安心です。
・自治体が行う見守りサービス
・安否確認システム
・地域ボランティアや民間サービスとの連携
自治体の高齢者見守りサービスと安否確認システム
多くの自治体では、高齢者向けの見守りサービスを導入し、民生委員や地域包括支援センターの職員が定期的に訪問や電話連絡で安否確認を行っています。
生活相談にも対応し、孤独感の軽減や緊急時の迅速な対応が可能です。
近年はICT技術を活用し、ドアの開閉や電気使用状況を遠隔で監視するシステムも普及しています。
異常があれば関係者がすぐに駆けつける仕組みは、より安全な老後生活を支える重要なインフラとなっています。
地域ボランティアや民間サービスとの連携の役割
地域住民やボランティア団体による見守り活動も、高齢者の孤立を防ぐうえで大きな役割を果たします。
民生委員や老人クラブ、サークルなどが中心となって、訪問や配食サービス、おしゃべりサロンの開催など、多彩な支援活動を展開しています。
また、自治体と民間事業者が連携し、訪問介護や宅配サービスを提供する地域も増えています。
(こちらの記事もチェック)
ポイント⑤:人との距離感と地域コミュニティの雰囲気
おひとりさま老後移住にあたり、以下のポイントを意識して地方都市を選ぶことで、孤独を感じることなく、居心地の良い日々を送れるでしょう。
【ポイント】
・ご近所との適度な距離感が保てるか
・趣味活動や地域イベントに気軽に参加できる環境か
・多様な価値観を尊重しコミュニティが活性化しているか
適度なご近所付き合いが築けるか
地方都市では、都会と比べて近隣住民とのつながりが深くなりやすい傾向があります。
けれど、おひとりさまの老後移住者にとっては、過干渉なく適切な距離感で交流できる環境が理想的です。
普段はお互いのプライバシーを尊重しながら、挨拶や簡単な会話が自然にできる地域。この関係性は孤立感を減らし、緊急時の助け合いや心の支えにもなります。
趣味や地域イベントへの参加のしやすさ
地域の自治会や老人クラブ、ボランティア団体が主催するサークルやイベントが活発な地方都市は、新しい人間関係を築くチャンスが豊富にあります。
趣味や特技を活かして参加することで生きがいや生活にハリが生まれ、心身の健康維持にもつながります。
参加のハードルが低いところも、移住者が地域に溶け込みやすい環境の条件です。
おひとりさまの老後を豊かにする地方都市12
地方都市には、都市の利便性と自然の癒やしを併せ持つ「ちょうどいい」が存在します。
静かな暮らしを求めながらも、都会の便利さを手放したくないというシニア世代には、地方の中でも都市機能が整った“ちょうどいい街”が理想的です。
「医療の充実」「交通の利便性」「生活インフラの整備」の3つのバランスも整っている、おひとりさまの老後移住におすすめの地方都市を紹介します。
長野県・長野市|健康と利便性のバランスが優れた街
長野市は、健康寿命全国1位の長野県に位置し、医療機関の数や質、ともに高い水準を誇っています。
市街地はバスや鉄道が充実しており、移動手段も安心です。
大型スーパーや商業施設も揃っていて、車がなくても生活できる環境が整っています。
自然も豊富で、四季の移ろいを楽しみながら、落ち着いたおひとりさま老後移住生活を送れます。

岡山県・岡山市|晴れの国で温暖な気候と暮らす
岡山市は、年間を通して晴天が多い「晴れの国」として知られ、冬の寒さが苦手な人にも適した移住先です。
市内中心部は交通アクセスが良好で、買い物や通院も便利です。
医療機関も充実しており、高齢者が安心して暮らせる体制が整っています。
自然環境にも恵まれ、生活コストも比較的低めである点も魅力です。
北海道・札幌市|都市機能と自然が融合した街
札幌市は、北海道最大の都市として交通・医療・買い物環境が非常に整っています。雪国であることから除雪体制も万全で、冬の暮らしも安心です。
公園や自然が身近にあり、四季を感じる生活ができます。
高齢者向けサービスも豊富で、おひとりさま老後移住先としても全国的に人気が高い都市です。

福岡県・福岡市|文化・医療・食の三拍子が揃う
福岡市は、中規模都市としての住みやすさが魅力です。
地下鉄やバス網が発達しており、移動が非常にスムーズです。
病院や診療所も多く、医療面でも安心です。
さらに食文化が豊かで、博多グルメを楽しみながら暮らせるのも大きな魅力です。
シニア向けの交流イベントや文化施設も多く、刺激のある老後を過ごせます。
静岡県・静岡市|温暖な気候で心も体も穏やかに
静岡市は、太平洋側特有の温暖な気候と豊かな自然が魅力です。
都市機能もコンパクトにまとまっていて、公共交通や医療、買い物環境も充実しています。
高齢者向けの地域コミュニティ活動も盛んで、人とのつながりを感じながら過ごせます。
ゆったりとした時間の流れの中で、おひとりさま老後移住を穏やかに楽しめる街です。
鳥取県・倉吉市|「暮らしよし」の名のとおりの生活環境
倉吉市は、「暮らしよし」のキャッチコピーの通り、シニア世代の移住先として高く評価されています。
山・海・温泉に囲まれた自然環境と、市街地の便利さが両立しているのが特長です。
医療機関や生活インフラも充実しており、地域のコミュニティ活動も活発です。
住民同士の支え合いもあり、安心して暮らすことができます。
栃木県・小山市|交通と生活の利便性がそろうバランスの良い街
小山市は、医療機関の充実と交通アクセスの良さが魅力の地方都市です。
特にJR小山駅周辺や城南エリアは、病院や公園も多く、駅周辺には大型商業施設やスーパー、ドラッグストア、銀行などが集まっています。
地域のサークル活動も盛んで、地域とのつながりを持ちやすい点も魅力です。
高齢者の移動を支援するタクシー送迎サービスも充実していて、車がなくても暮らしやすい街です。サービス付き高齢者住宅など福祉面でも支援体制が整っています。
山形県・山形市|自然と都市機能がコンパクトにまとまった街
山形市は、四季折々の自然が楽しめる一方で、病院・商業施設・交通機関が市中心部に集まっているコンパクトシティです。
公共交通網やデマンド交通も整備されており、車がなくても移動に困りません。
物価も比較的安く、地域住民同士のつながりも温かいのが特長です。
新潟県・新潟市|雪国でも安心の都市インフラと交通網
新潟市は、雪国ながらも除雪体制がしっかりしていて、雪に不安を感じる人にも住みやすい街です。
新潟駅を中心にバス路線が充実し、病院やスーパーなどのアクセスも良好です。
高齢者向けの健康促進事業やコミュニティ活動も豊富で、おひとりさまの暮らしに安心を与えてくれます。
広島県・福山市|程よい都市規模と交通利便性が魅力
福山市は、人口約45万人の中核市で、新幹線や在来線の駅が利用できる交通の便の良さが特長です。
市街地は徒歩やバスでの移動がしやすく、買い物や通院も快適です。
医療機関や介護施設の数も多く、おひとりさまでも安心して暮らせる体制が整っています。
鹿児島県・鹿児島市|温暖な気候と温泉文化で心も体もほぐれる
鹿児島市は、南国らしい温暖な気候と桜島を望む豊かな自然が魅力です。
中心部には市電やバスが整備されていて、移動も便利です。
温泉施設も多く、リラックスしながら健康を保つ生活が可能です。
地域医療と見守り支援も手厚く、おひとりさまの老後にも安心感をもたらします。
石川県・金沢市|文化と利便性が融合した美しい地方都市
金沢市は、伝統とモダンが融合した風情ある街です。
北陸新幹線の開通で首都圏とのアクセスも良く、街中には大型病院や文化施設が点在しています。
市内はバスが頻繁に運行していて、高齢者の外出にも便利です。
芸術や歴史に触れながら、知的好奇心を満たす豊かな老後が送れます。

おわりに。。
おひとりさまの移住を考えるときに、気になる地方都市があれば、まずは補助金や支援制度なども含めて、その地域の情報をしっかり集めることが大切です。
そして可能であれば、春・夏・秋・冬、それぞれの季節に実際に足を運び、その土地の空気や暮らしの雰囲気を肌で感じてみてください。それが、納得のいく移住先選びへの第一歩になります。
移住の相談や移住体験ができる都市もあります。そういった制度を利用してみるのもいいですね。
老後は、自力で生活をすることが難しくなる場面が増えて「一人で生きていく」ことがきつく感じていきます。医療体制や交通網が整っていて、地域とほどよいつながりが持てる地方都市であれば、「一人で生きていく」の可能性を残せます。
ご自分に合った「一人でも安心して住める街」を見つけて、自分らしい暮らしを始める場所が見つかるといいですね。
ありがとうございました。