高齢者の身元保証にかかる費用はいくら?信頼できるサービスの選び方

高齢者の身元保証にかかる費用はいくら?相場と内訳を解説
高齢者の身元保証費用は必要な支援内容で大きく変わります。
高齢者の身元保証にかかる費用は、「身元保証のみ」を依頼する場合と、「生活支援」や「死後事務」まで含むかどうかで大きく異なります。
保証人だけをお願いする場合は30万円〜50万円前後が目安ですが、包括的な終身サポートを希望する場合は、100万円〜200万円かかることが多いです。
この費用は決して安いものではありませんが、入院や施設入所などで「保証人がいないと手続きできない」といった事態を避けるために、特に身寄りのない高齢者にとって必要な備えとなっています。
「身元保証のみ」を希望する場合の費用と相場
高齢者の中には、「保証人だけ頼みたい」という方もいます。
そうした方に適しているのが、「身元保証のみ」を専門に受け付けている団体や会社です。
■ 身元保証相談士協会
入会金・登録料: 33,000円
保証料・基本料金: -
月額・年会費: 月額3,850円/年額46,200円
サービス概要・備考:
身元保証のみの「シンプル会員」は月額1,650円/年額19,800円で利用可能。
■ えにしの会
入会金・登録料: 150,000円
保証料・基本料金: 275,000円
月額・年会費: 月額5,000円
サービス概要・備考:
身元保証のみの依頼も可能。
■ シニア総合サポートセンター
入会金・登録料: 10,000円
保証料・基本料金: 356,481円(身元保証のみ)
月額・年会費: 年額10,000円
サービス概要・備考:
身元保証単体のプランあり。
■ 全国シルバーライフ保証協会
入会金・登録料: -
保証料・基本料金: 330,000円
月額・年会費: -
サービス概要・備考:
基本保証プラン内で身元保証のみ対応可。
■ プラスらいふサポート
入会金・登録料: -
保証料・基本料金: 198,000円~616,000円
月額・年会費: -
サービス概要・備考:
プランにより料金が異なる。身元保証のみのプランも用意。
(※料金は個別に確認が必要です)。
このような「高齢者の身元保証費用を抑えたい方」にとっては、30万円〜50万円前後で利用できます。
なお、月額費用がかかる場合や、オプションのサービスを付けると費用が上がることもあるため、契約前の確認は必須です。
「終身サポートを含むサービス」を希望する場合の費用と相場
身元保証に加えて見守り・生活支援・死後の手続きまでをセットで依頼する場合は、費用が大きくなります。終身サポートを含む場合の費用は100万円以上が一般的です。
■ あかり保証(民間・全国対応)
サービス内容:
・身元保証(入院・入所時の保証、緊急時対応、身柄引き取り)
・日常生活支援(買い物・通院同行、家事代行など)
・死後事務(葬儀・納骨・遺品整理、行政手続き)
利用料:
・一括払い:880,000円(税込)
・月額払い:10,000円~(分割払い可)
・※生活保護受給者向け特別プランあり
特徴:
・弁護士・司法書士などの専門家が運営
・信託口座で資金管理を実施
■ ティア ファミリーサポート
サービス内容:
・日常生活支援(買い物・通院同行・家事代行)
・身元保証(入院・施設入所時の保証人)
・死後事務(葬儀・納骨・遺品整理)
利用料:
・初期費用:300,000円~
・預託金:500,000円~
・月額:5,000円~
特徴:
・フルサポート型の柔軟なサービス構成
・必要に応じて個別サービスを追加可能
■ 献身会(一般社団法人)
サービス内容:
・身元保証(入院・施設入所時の保証人、緊急連絡など)
・日常生活支援
・死後事務
利用料:
・【身元保証プラン】
入会金:275,000円
保証料:715,000円
・【死後事務プラン】
料金:275,000円+預託金500,000円~
・【月額型プラン】
月額:12,100円(※保証料は別途)
特徴:
・法人による信頼性の高い身元保証人代行サービス
こうした終身サポート型のサービスは、「一人暮らしで頼れる人がいない」「死後のことまで不安がある」といった高齢者に向いています。
なぜ高齢者に身元保証が必要なのか
今は、65歳以上の一人暮らし世帯は増加傾向にあります。
未婚の方や子どもを持たない方、配偶者が亡くなった方、また家族が遠方にいるという方も多く、保証人をお願いできる相手がいないという声が増えています。
このような背景から、「身元保証サービス」についての関心が高まっています
1.入院・施設入所のために保証人が求められることが多い
病院や介護施設では、契約時に「身元保証人を立ててください」と言われることがあります。
これは、入院費や施設利用料などの支払いを保証したり、緊急時に連絡を取ったり、退院や退所の手続きを代行したりするためです。
身元保証人がいないと、入院や施設入所がスムーズに進まない場合もあります。
2. 亡くなったあとの手続き
身元保証は、亡くなった後の葬儀や遺品整理、公共料金などの精算といった「死後の事務手続き」にも関わってきます。
頼れる人がいないと、こうした手続きが進まず、周囲にも負担をかけてしまうことがあります。
身元保証だけじゃない「終身サポート」の内容は?
終身サポートとは、「高齢者等終身サポートサービス」といい、高齢者向けの総合支援としてサービスが提供されています。身元保証に加え、生活支援、医療・介護の支援、死後事務まで対応する包括的なサービスです。各サービスの範囲と価格を比較検討することが求められます。
日常生活支援
日常生活の維持・継続を目的として提供されています。
- 買い物や通院の付き添い
- 公共料金や生活費の支払い代行
- 引っ越し、家具処分、生活用品の整理
- 生活費の管理や重要書類の保管
定期的な見守りと緊急時の対応
見守りサービスには、定期的な安否確認や緊急時の連絡・駆けつけ対応が含まれます。通信機器や訪問による確認などが行われます。急変時の初期対応もサービスの一部に含まれています。
医療・介護に関する支援
医療や介護の現場では、本人の意思確認が難しいケースがあります。終身サポートには、病院や介護施設との連絡調整、手続き支援、判断が困難な場合の意思決定支援などが含まれます。
死後事務の代行対応
家族が不在または対応が難しい場合を想定したものです。
- 死亡確認および関係先への連絡
- 死亡診断書・火葬・埋葬許可の申請
- 葬儀・納骨の手配
- 遺品整理および住居の原状回復
- 公共料金の精算、財産の整理
終活支援に関する業務
エンディングノートの作成支援や、遺言書作成サポートなど、終活関連の業務を行うサービスも存在します。
同じ「身元保証サービス」という名前でも、その中身と料金は大きく異なるため、自分が本当に必要とする支援が何かを見極めたうえで契約を検討することが大切です。
契約内容の範囲(身元保証のみか、生活支援・死後事務も含むか)
地域差(都市部と地方で価格に差がある場合も)
事業者の形態(NPO法人、一般社団法人、司法書士などの専門家団体、民間会社によって料金体系が異なる)
オプションの有無(付き添い、財産管理、緊急対応などを追加することで費用が加算されることも)により金額が大きく変わります。
信頼できるサービスを選ぶためのチェックポイント

民間企業が人生の最期まで家族のように支える「高齢者等終身サポートサービス」は、利用料金が高額になることが多く、近年では新たに参入する企業も急増しています。
その一方で、政府によるガイドラインなどの整備が遅れていたこともあり、契約に関するトラブルが多く報告されてきました。
契約前に確認すべきポイントと準備
高齢者向けの終身サポートや身元保証サービスを安心して利用するには、事前の準備と確認がとても大切です。以下の点をしっかり押さえて、納得のいく契約につなげましょう。
1. 必要な支援内容を整理する
- 日常生活でどのようなサポートを希望するかを明確にする(例:買い物や通院の付き添い、身元保証、死後の手続きなど)。
- 自分が望むサービス内容をリストアップし、優先順位をつけておくと、事業者との打ち合わせがスムーズになる。
- 期待している支援が実際に提供されるかどうか、事前に確認し書面に残す。
2. 費用と支払い能力を見極める
- 高齢者向けの身元保証サービスには、月額費用や利用時に都度料金が発生するケースもある。
- 自分の平均余命やサービスの利用期間を想定し、総額でどれくらいかかるかを計算しておく。
- 現在の資産や収入と照らし合わせて、無理のない範囲で継続できるかを判断する。
3. 契約内容の確認と調整
- 契約書の案は一方的なものではなく、必要に応じて修正を求めることが可能。
- 契約前に、「対応できないこと」や「制限事項」について説明を受けたうえで、納得した内容を文書で残す。
- 認知機能や体力が低下したときに備え、契約内容や緊急連絡先をわかりやすく記載し、家族などと共有しておく。
4. 担当者の信頼性を見きわめる
- サービス提供者が介護福祉士や看護師などの資格を持っているか、また実務経験があるか、また、法律の専門家が登録しているか確認する。
- 実際に担当者と会話し、人柄や誠実さに信頼が持てるかを感じ取れるか。
5. プライバシー保護と対応体制の確認
- 個人情報が安全に管理されているか、利用目的が明示されているかを確認する。
- 第三者への情報提供がある場合は、必ず事前に同意の仕組みがあるかをチェックする。
- トラブル発生時の対応窓口、相談先、苦情の処理方法についても説明を受けておく。
6. 家族や専門家と必ず相談する
- 不安な点があるときは、一人で判断せず信頼できる専門職(弁護士、行政書士、ケアマネージャーなど)に相談する。
- 専門家からの客観的な意見をもとに、契約のメリットやリスクを冷静に見極める。
7. 契約書の扱い方と判断のポイント
- 契約書はその場で署名せず、必ず持ち帰って内容をじっくり読む。
- 時間をかけて検討し、必要であれば第三者の目も通してもらうことが望ましい。
- 中には高齢者の不安につけこむ悪質な業者も存在するため、契約は慎重に行う。
自治体が行う支援サービスもチェックしよう
自治体の支援制度は信頼性が高く、費用も抑えられる傾向がある
高齢者が身元保証や日常生活の支援を必要とするとき、民間のサービスだけでなく、自治体が行っている支援制度も確認しておくことが大切です。自治体のサポートは、公的機関が関わっているため信頼性が高く、費用も比較的抑えられていることが多いのが特徴です。
高齢者向け「終身サポート」導入自治体と支援内容
高齢者の生活や終末期に関する不安を軽減するため、全国の一部自治体では「高齢者等終身サポートサービス」を国のモデル事業として進めています。以下に、導入自治体やサービス内容、費用の目安などをわかりやすくまとめました。(2025年6月時点)
■ 横浜市
サービス開始時期:
2024年9月~
主なサービス内容:
・包括的な相談・調整窓口
・身元保証の代替(アドボケート契約)
・日常生活支援
・後見制度支援
・死後事務支援
(※アドボケート契約とは…自分の代わりに意思を伝えてくれる人と結ぶ契約のことで「もしものとき、自分の代わりに“こうしたい”と伝えてくれる人を、あらかじめお願いしておく契約」のことです。)
■ 福岡市
サービス開始時期:
2024年4月~
主なサービス内容:
・総合的なパッケージ支援(身元保証、生活支援、死後事務等)
■ 愛知県大府市
サービス開始時期:
2024年10月予定
主なサービス内容:
・包括的な相談・調整窓口
■ 愛知県豊田市
サービス開始時期:
2025年1月予定
主なサービス内容:
・包括的な相談・調整窓口
■ 神奈川県松田町
サービス開始時期:
2025年1月予定
主なサービス内容:
・総合的なパッケージ支援
■ 愛知県岡崎市
サービス開始時期:
2024年度~
主なサービス内容:
・包括的な相談・調整窓口
※上記以外にも、今後対象となる自治体の拡大が予定されています。
自治体の終身サポート利用料金について
- モデル事業段階では、原則として無料またはごく少額でサービスが提供されています。
- ただし、本格的な制度化が進んだ際には、利用料や預託金が設定される可能性があります。
- 例として、東京都足立区社会福祉協議会が行う類似のサポートでは、預託金52万円+年会費2,400円という料金設定があります(今後の費用参考例)。
※所得や支援内容によって負担額が変わる可能性があるため、詳細は各自治体の担当窓口でご確認ください。
自治体の終身サポート、主な内容
各自治体では、次のような支援が提供されています。
● 生活・終末期に関する総合相談窓口
高齢者本人や家族が抱える日常生活や終末期の不安に対し、専門スタッフが相談に応じ、必要に応じた支援につなぐ窓口を設置しています。
● 身元保証代替支援(アドボケート契約など)
入院や介護施設入所時の保証人代行、緊急時の連絡先確保、意思決定の支援などを行います。身寄りのない高齢者にとって特に重要なサポートです。
● 日常生活の支援
介護保険対象外のサービス(見守り、通院や買い物の付き添い、公共料金の支払い代行など)も提供されることがあります。
● 成年後見制度の利用支援
財産管理や契約手続きが難しくなった場合、成年後見制度の活用を支援し、法的保護を確保します。
● 死後事務支援
死亡後の届出、葬儀や納骨の手配、遺品整理、各種精算手続きなどを支援し、家族や関係者の負担を軽減します。
自治体の終身サポートは全国に広がりつつある
現在、横浜市、福岡市、愛知県の複数自治体、神奈川県松田町などで、国のモデル事業として「高齢者等終身サポートサービス」が実施されています。
提供される支援は多岐にわたり、身元保証、日常生活のサポート、死後事務の支援、成年後見の活用などが含まれます。
モデル事業の段階では費用は無料または低額ですが、将来的には一定の費用がかかる可能性もあるため、事前の情報収集と相談が重要です。
各自治体の福祉課や地域包括支援センターで最新情報を確認し、自分や家族に合ったサポートを見つけていきましょう。
※今後も国の方針により対象自治体が増える見込みです。最新情報は厚生労働省や各自治体の公式ホームページをご覧ください。
困ったときの相談窓口
保証人を求められたときなど、不安や困りごとがある場合は、一人で悩まずに地域の支援機関に相談しましょう。早めの相談がトラブルの予防につながります。
● 地域包括支援センターへ相談
どこに相談すればよいか分からない場合は、まずはお住まいの地域の「地域包括支援センター」に連絡してみましょう。介護・医療・生活支援など幅広い分野の相談に応じてくれます。
● 契約やお金のトラブルは消費生活センターへ
契約内容がよく分からない、費用や支払いについて不安があるときは、地域の「消費生活センター」が頼りになります。専門の相談員が中立な立場でアドバイスしてくれます。
おわりに。。安心して老後を過ごすために
高齢化が進むなかで、生涯独身を選ぶ方や、子どもを持たない世帯の増加、さらには少子化の影響により、ひとり暮らしで老後を迎える高齢者が今後ますます増えていくと予想されています。また、配偶者を亡くされた方や、家族・親族とのつながりが希薄になった方にとっても、老後の生活における安心の基盤として「身元保証」の必要性は非常に高まっています。
実際に、身元保証人がいないと入居できない高齢者施設や医療機関も多く、兄弟姉妹が高齢の場合には保証人になれないケースもあります。これは一部の人だけの問題ではなく、多くの人が将来直面する可能性のある現実です。だからこそ、「自分にはまだ先の話」と思わず、自分ごととして捉え、準備を進めておくと安心です。
医療や介護の場面で安心して必要な支援を受けるためには、信頼できる身元保証サービスを検討することが、老後の安心につながります。民間のサービスだけでなく、各自治体による支援体制も広がりつつあります。
これからの人生をより安心して過ごすために、情報を集め、自分の状況に合った備えを考えていけるといいですね。
ありがとうございました。