高齢の親の一人暮らしが心配な方へー自治体が提供する見守りサービス徹底解説

高齢の親の一人暮らし、心配ごと
体調の急変や転倒・転落
・命にかかわる急な体調の変化や転倒・転落
・加齢により、体の動きがにぶくなり、段差や階段でのつまずき
・危険な浴室(すべりやすい、ヒートショックや溺水のリスク)
・身近に助けを呼べる人がいないと、発見が遅れる
・発見が遅れることで、重症化や命の危険につながるおそれがある
孤独と認知症の進行
・話し相手が減り、孤独を感じやすくなる
・人との交流が少ないと、気分が沈みやすく、生活への意欲が低下する
・気づかないうちに認知症が進行する
・近くに話し相手がいないと、小さな異変に気づきにくい
・認知症が進むと、火の消し忘れや徘徊などの危険
犯罪や詐欺に巻き込まれるリスク
・犯罪や詐欺の被害に遭うリスクが高まる
・訪問販売や電話詐欺など、高齢者を狙った巧妙な手口が増えている
・判断力の低下や、相談できる人がいない状況では、被害に気づかず深刻なトラブルに発展する可能性がある
見守りサービスとは?基本の仕組みと種類
見守りサービスとは、高齢者の一人暮らしを支援するために、日々の様子を確認する仕組みのことです。トラブルを早く見つけることができます。見守りの仕組みがあることで、離れて暮らす家族も安心でき、本人の生活も安全なものになります。
また、日常的な声かけや訪問により、孤独感や不安の軽減にもつながります。さらに、認知症の兆しや生活の変化に早く気づけることで、より適切な支援や介護につなげることもできます。
相談できる自治体の窓口
「一人暮らしの親が心配…」「誰かに相談したいけど、どこへ連絡すればいいの?」
そんなときに頼りになるのが、自治体の相談窓口です。
ここでは、よく利用されている主な相談先をご紹介します。
地域包括支援センター(ちいきほうかつしえんセンター)
全国すべての市区町村にある、高齢者の生活を支える総合相談窓口です。
このセンターには、介護のプロである「保健師(ほけんし)」や「ケアマネジャー」、「社会福祉士(ふくしし)」といった専門家がいて、次のようなことを相談できます。
- 一人暮らしの親の見守りについて
- 介護サービスの紹介
- 利用できる制度の案内 など
※センターの名前は「高齢者あんしん相談窓口」など、市区町村によって違うことがあります。
全国の「地域包括支援センター」の連絡先
(各都道府県のホームページへリンク)
■ 北海道・東北地方
| 北海道 | 青森県 | 岩手県 | 宮城県 | 秋田県 | 山形県 | 福島県 |
■ 関東地方
| 茨城県 | 栃木県 | 群馬県 | 埼玉県 | 千葉県 | 東京都 | 神奈川県 |
■ 中部地方(甲信越・北陸・東海)
| 新潟県 | 富山県 | 石川県 | 福井県 | 山梨県 | 長野県 | 岐阜県 | 静岡県 | 愛知県 |
■ 近畿地方
| 三重県 | 滋賀県 | 京都府 | 大阪府 | 兵庫県 | 奈良県 | 和歌山県 |
■ 中国地方
| 鳥取県 | 島根県 | 岡山県 | 広島県 | 山口県 |
■ 四国地方
| 徳島県 | 香川県 | 愛媛県 | 高知県 |
■ 九州・沖縄地方
| 福岡県 | 佐賀県 | 長崎県 | 熊本県 | 大分県 | 宮崎県 | 鹿児島県 | 沖縄県 |
社会福祉協議会(しゃかいふくしきょうぎかい)
多くの自治体にある「社会福祉協議会」も、高齢者を見守るための相談窓口を設けています。「見守り相談室」などの名前で活動しているところもあります。
社協では、次のようなことをしています:
- 地域の高齢者への訪問活動
- ボランティアや地域の人たちと連携した見守り支援
全国の社会福祉協議会一覧(全国社会福祉協議会ホームページへリンク)
独自の見守り相談窓口(都市部など)
特に大きな都市では、地域に合わせた名前の相談窓口があります。
東京都内では、各区ごとに詳細な窓口が整備されています。こうした窓口も、地域包括支援センターと連携して、支援や相談に応じています。
消費生活センターや見守りネットワーク
「電話で怪しい勧誘がきた」「親がだまされそうで不安」そんなときには、消費生活センターや見守りネットワークが力になります。
- 消費者トラブルを防ぐための相談や支援
- 地域の福祉・医療・警察・消費者団体が連携して見守るしくみ
詐欺や悪徳商法の被害を防ぐためにも、相談しておくと安心です。
各地の消費生活センター等連絡先(独立行政法人 国民生活センターへリンク)
見守りネットワーク/消費者安全確保地域協議会(消費者庁のホームページへリンク)
相談するときのポイント
- まずは自治体のホームページをチェック!
相談窓口を調べましょう。窓口は市や町などの自治体ごとに設けられており、担当エリアが決まっています。ご本人がお住まいの地域によって、担当する窓口が異なります。 - 相談は電話や窓口で気軽にできます!
直接行く場合は、念のため事前に連絡を入れるとスムーズです。 - 相談は無料。誰でもOK!
ご本人だけでなく、家族やご近所の方でも相談できます。 - 相談内容に応じて、いろいろなサービスや制度を教えてもらえます。
必要に応じて、介護サービス、福祉制度、民間の見守りサービスの紹介も受けられます。
自治体による見守りサービスの具体例
高齢者の一人暮らしを支えるために、各自治体ではさまざまな見守りサービスを実施しています。定期的な安否確認や、地域の人たちの協力による見守り体制が、高齢者の安心につながっています。
訪問や電話での安否確認
多くの自治体では、民生委員や地域包括支援センターの職員が、高齢者の一人暮らしの方のもとを定期的に訪問したり、電話で元気かどうかを確認する取り組みを行っています。
配達業者との連携で日常の見守り
新聞配達員や郵便局員、宅配業者などが配達の際に高齢者の様子に気づき、もし何かおかしいと感じたら自治体や家族に連絡する仕組みもあります。毎日の暮らしの中で、自然に異変に気づける仕組みです。
地域住民やボランティアによる見守り体制
自治体によっては、地域の人たちが高齢者の見守りにさりげなく参加する仕組みもあります。
自治体による見守りの取り組み例
- 埼玉県鴻巣市
民生委員や地域包括支援センターの職員が定期的に訪問や電話で安否確認を実施。さらに、ペンダント型の緊急発信機や通報ボタン付き電話機を配布し、緊急時の対応にも備えている。 - 三重県四日市市
新聞配達員、郵便局員、宅配業者などと協定を結び、配達時に高齢者の異変に気づいた場合、自治体や家族に連絡する仕組みを導入。日常の暮らしの中で自然に見守る体制を整備。 - 北海道滝川市
「いきいき百歳サポーター」と呼ばれる地域のボランティアが、高齢者の見守りや介護予防教室を運営し、地域ぐるみでの支援を実施。 - 静岡県浜松市
地域住民・企業・行政が連携した「はままつあんしんネットワーク」を構築。高齢者を日常的にさりげなく支える体制を整えている。

自治体以外、企業の見守りサービス
民間企業の見守りサービスは、さまざまな種類があります。ご本人の状態や操作のしやすさ・使いやすさ、初期費用・月額料金などのコスト、設置環境に合った機種のほかに、ご本人がストレスなく受け入れられることも重要です。代表的なものは以下の通りです。
1.緊急通報かけつけ型
緊急時にボタンを押すだけで、専門スタッフが迅速に現場に駆け付ける支援が受けられる仕組み。
● ALSOK みまもりサポート:ガードマンが迅速に駆け付ける安心のサポート。オプションでペンダント型緊急ボタン、外出時の位置情報取得、災害時の避難支援 などあり。
(費用の一例 初期費用:約70,000円、月額:1,870円~3,069円)
● セコム・ホームセキュリティ(親の見守りプラン):ペンダントを握るだけで通報。24時間看護師への電話相談も可能。室内の防犯・火災対策、押し売り対策機能も搭載。
(費用の一例 レンタル型:初期費用 約64,000円+月額 4,600円。買取型:初期費用 約200,000円+月額 3,100円 ※料金は住宅の広さ等により異なる)
● 関電SOS:シニア向け緊急通報システム。
(費用の一例 初期費用:247,500円、月額:2,000円~3,000円)
● LASHIC-call(ラシク・コール):ナースコールのように使える通話型見守り。Wi-FiなしでもOK。スマホを通じて緊急時の通話が可能。センサーとの連携も可。
(費用の一例 初期費用:なし、月額:2,178円~4,366円)
● ミマモーレ BTPT2:スマホと連動した緊急ボタン。使いやすくシンプル。コストも低め。
(費用の一例 月額:440円(本体・通話料別))
● 見守りプラス 認知のアイシル:押しボタンによる日常確認で認知機能の低下にも気づける多機能型。服薬・食事の管理機能も搭載。
(費用の一例 レンタル:初期費用 12,000円+月額 3,200円、ルーターあり:初期費用 19,800円+月額 1,980円 など一年定額など複数プランあり)
2.センサー型
高齢者の日常行動や体調の変化をセンサーで自動的に感知し、異常があれば家族に知らせるシステム。
● 見守りロボット:カメラではなくロボット型で、自然なおしゃべりも可能。AI技術で会話、温度・湿度管理、長時間不在通知など。
(費用の一例 月額:2,970円、機器価格:50,000円~100,000円+月額、または機器代に月額不要のプランなど)
● 見守り電球:電球の点灯・消灯を感知して異常をメール通知。
(費用の一例 電球価格:約16,720円+月額464円。ヤマト運輸による見回りサービスあり(初期費用0円+月額1,738円))
● 見守りポット:ポットの使用状況をもとに家族へ最大3回/日メールで通知。
(費用の一例 初期費用:5,500円、月額:3,300円/台)
● 見守りコンセント:家電の使用状況を通じて見守りが可能。
(費用の一例 本体価格:2,700円~17,600円程度。一部は月額使用料が必要)
● テレビ連動端末:テレビに接続することで在室を感知、テレビ電話も可能。
(費用の一例 初期費用:33,000円、月額:1,980円)
3.カメラ型
映像を通じて離れた場所から親の様子をリアルタイムで見守り、必要に応じて音声でコミュニケーションを取ることも可能。
● 防犯カメラ:スマホ連動で映像確認が可能。360度視野や目覚まし時計型など種類豊富。
(費用の一例 機器価格:3,000円~15,000円程度)
4.訪問型
● 配食サービス(見守り付き):食事の配達と同時に安否確認。健康状態に配慮したメニューも選べる。災害時などにも栄養面の支援が可能。(1食あたり470円~800円程度、平均額500円~600円(税込・配達料込))
●郵便局のみまもりサービス:月1回郵便局員が訪問。(月額2500円)
5.その他の見守り補助ツール
● スマートウォッチ:日常の健康管理にも役立つ、心拍数や血圧測定、GPSによる居場所の確認が可能、転倒検知やSOS発信など機種によって機能多彩。
●GPSを組み合わせられるサービスもあり:外出時の居場所をリアルタイムで把握し、徘徊対策にも活用できる。
最適な見守り方法を見つける
自治体が提供する見守りサービスは、基本的に無料または低額で、地域のネットワークを活かした安心できる支援です。定期的な訪問や電話連絡など。一方、民間のサービスはインターネットやAIなどの最新技術を使ったものや、24時間対応など多様な選択肢があります。
高齢者の一人暮らしを支えるには、自治体のサービスと民間の仕組みを上手に組み合わせると、より安心です。生活スタイルやご家族の状況、ご本人の希望、費用に応じて、最適な見守り方法を見つけていきましょう。
見守りサービスを利用している家庭の声
【高齢者本人】「一人暮らしでも誰かが見てくれていると思うと安心できる」
【高齢者本人】「電話の声かけが毎日の楽しみになった」
【高齢者本人】「操作が簡単で、負担にならない」
【高齢者本人】「機械が苦手でもすぐ慣れた」
【家族】「急な転倒や体調の変化が心配で仕事に集中できなかったけれど、今は本当に気が楽になった」
【家族】「最初は様子見だったけれど、もっと早く利用していればよかった」
一人暮らしの親が安心して暮らすために、家族にできること
見守りサービスは定期的な見直しもポイント
高齢者 一人暮らしの環境は、月日とともに少しずつ変化していきます。健康状態、生活リズム、気分の変化などに合わせて、利用中の見守りサービスを定期的に見直すことが大切です。
訪問型、センサー型、電話型など、さまざまな種類がありますが、ご本人にとって使いやすい方法を選ぶことが安心につながります。見守りサービスは、必要に応じて変更や追加ができるため、家族が定期的にチェックしておくと安心です。
毎日の会話が心の支えに
高齢者 一人暮らしでは、日々のちょっとした会話が心の安定につながります。電話やビデオ通話、LINEなどでの連絡は、体調の変化に気づくきっかけにもなります。
毎日決まった時間に連絡することで、ご本人も「今日も声が聞けてうれしい」と感じ、孤独感がやわらぎます。短い時間でもよいので、継続してコミュニケーションを取ることが大切です。
家族の思いやりと地域の力で、安心できる毎日を
見守りサービスの活用と見直し、日々の会話、そして自治体の相談窓口をうまく活用することで、一人暮らしの親御さんも安心して暮らすことができます。
まとめ
高齢で一人暮らしの親を思うとき、「毎日元気に過ごしているだろうか」「何かあったら気づけるだろうか」と不安になることがあります。その気持ちに、自治体の見守りサービスは応えてくれます。どの方法も、親御さんの暮らしにそっと寄り添い、ご家族の心にも安心を届けてくれるものです。
離れていても、見守る心はいつもそばにあります。親御さんの毎日が、安心で、穏やかであたたかいものになるよう、家族と地域で見守っていけるといいですね。
ありがとうございました。